『コンドームの着用だけで大抵は予防ができる!』
皆さん、こんにちは。今回は、唐突にこの質問から。世界中で若い年代に最も多い性感染症は?性行為によって感染するこの性感染症(STI = Sexually Transmitted Infection)には、クラミジア、淋病、尖形コンジローム、性器ヘルペス、梅毒、B型肝炎、C型肝炎、エイズなどがあります。そして、特に日本やオーストラリアを含め、世界中で最も若い年代に多いものが、クラミジアです。
クラミジアは感染しても無症状で経過することが多く、約5人に1人しか症状が現れません。症状として女性では、おりものや下腹部痛、排尿時の違和感や痛み、不正出血など、男性では排尿時の痛みやペニス先端からの分泌物などがみられます。
クラミジアは一度感染すると薬で治療しない限り自然に良くなることはなく、放置すると女性では炎症が卵管から骨盤へと広がり、将来的に不妊の原因となることがあります。男性でも、尿道から前立腺または睾丸へ炎症が進む恐れがあります。セックスによって性器から性器へ感染することがほとんどですが、オーラルセックスによって咽頭に感染、アナルセックスにより直腸に感染することもあります。また、感染率が非常に高く、感染が診断されたら過去のパートナー、現在のパートナー共に検査・治療を受けることが重要です。尿あるいはおりもの採取の検査によって診断ができ、治療は約1週間の抗生物質の服用でできますが、さらに治療終了の4~6週間後に再検査を行って、完全にクラミジアが治療できていることを確認することが薦められます(稀に一度の抗生物質服用では治療できていないことがあるため)。
さて、どの性感染症にしても予防が重要です。コンドームの着用だけでたいていは予防ができることをご存じですか?近年、避妊手段として避妊用ピルの服用をオーストラリアで始める日本人女性も増えてきましたが、一方で「ピルを飲んでいるから大丈夫」と性感染症予防のための正しいコンドーム使用がされず、今日の性感染症の流行の実態がうかがえます。
エイズ問題は世界でも深刻ですが、最近話題になっている梅毒や今回お話ししたクラミジアも「自分は大丈夫」と安心してはいられないほど身近に広がっています。性生活は恥ずかしがらずにパートナー同士で率直に話しあい、お互いの出会いを傷つけないようにしましょう。