『皮脂欠乏性湿疹（Asteatotic Eczema/Dermatitis）』
オーストラリア・パースに来てから、様々な皮膚のトラブルを起こす日本人患者さんがとても多いのですが、中でも一番多いのはこの『皮脂欠乏性湿疹（Asteatotic Eczema/Dermatitis）』です。これは皮膚の乾燥が過度に進み、本来皮膚を外界の刺激から守っている自然な皮膚の油分（皮脂）がなくなっていき、かゆみや皮膚の落屑（皮膚が粉を吹く、ぼろぼろとむけてくる状態）、湿疹が出現するものです。
よく「日本と水が違うせいで？」と言われます。日本の軟水と違いパースの水は硬水が多く、カルシウムやマグネシウムを多く含んでいます。軟水と違って肌のごわつきや髪のばさつきを感じやすくはありますが、硬水だから皮膚に悪いということでは決してありません。
パースは、空気が非常に乾燥しています。それだけですでにほとんどの人の肌は普段でも乾燥している状態となり、その上石けんでゴシゴシこすって身体を洗う、熱いお湯で長々とシャワーを浴びたり、湯船に浸かったりすることで皮脂がどんどん落とされ、皮膚の乾燥を進行させるのです。特に冬は寒いと熱いお湯を長々シャワーで浴びがちになります。
皮膚の過度の乾燥は、現在、アトピー性皮膚炎をお持ちの方ではその悪化に、子供の頃にアトピーだった人ではその再発に、あるいは今までアトピーでなくとも初めて発症する要因となります。
皮膚を守るために以下のことに日々気をつけましょう！
• 入浴、シャワーは一日一回、ぬるめのお湯で、短く済ませること。
• ふつうの石けんは使わず、洗浄剤を含まないソープフリーの製品を使うこと（QVやCetaphilブランドがおすすめ）。無ければただお湯で流すだけでよく、ゴシゴシ皮膚を擦って洗わないこと。
• 入浴、シャワーの後には保湿剤を塗布すること(QV Intensive、Cetaphil Cream、KENKAY Sorbolene Creamなどがおすすめ）。それでも湿疹が出現し、かゆみがあるなら早めにドクターの診察を受けましょう。
今回は『皮脂欠乏性湿疹（Asteatotic Eczema/Dermatitis）』についてご案内致しました。日本とオーストラリアでは環境が違いますので体の思わぬ箇所に思わぬ障害があらわれることがあります。困ったことがございましたら、お気軽に日本語医療センターまでお問い合わせください。
