後鼻漏(PND=POST NASAL DRIP)とは?
花粉症の時期に、なぜだか咳が止まらないということがありませんか?また、風邪をひいてその後咳だけが長引いてなかなか止まらないということも? 長引く咳について、実は“後鼻漏”、英語で“PND=POST NASAL DRIP”が原因だったというケースが多くございます。
健康な人間は、鼻の内側の粘膜から1日に2リットル以上もの粘液を産生していると言われています。これが鼻の外に流れ出してくるのがいわゆる鼻水ですが、後鼻漏とは鼻からのどの奥に流れている鼻水のことで、通常は知らない間にそのほとんどがのどの方へ流れ込んでいき、普段は全く気になりません。
ただ、アレルギーやウイルス・細菌感染などで炎症が引き起こされ、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎になると、この粘液(鼻水)の量が増え、濃くなるため喉に流れ落ちる際に喉に引っかかり、痰がらみが増えたり、その粘液が喉の粘膜を荒らすため喉が痛んだり、さらに気道に入ろうとするのでそれを防ごうとして咳が出るようになります。また、横になると上気道の解剖学的な位置から粘液がさらに喉に流れ込みやすくなるため、夜間に咳が増える、朝方に痰がたくさん出るなどという症状がみられます。
ドクターが鼻の内側の粘膜を診察した際、炎症を起こして腫れている場合は、この後鼻漏が咳や痰がらみの原因となっていることが多く、鼻炎を抑えるための、抗ヒスタミン剤や鼻炎用スプレーなどを処方してくれます。また、鼻の内側を洗浄するのも効果があり、生理食塩水の洗浄用スプレー(FESS NASAL SPRAY)を勧められることもあります。細菌感染による副鼻腔炎を起こしている場合は、合わせて抗生物質が処方されることもあります。「咳なのに鼻の薬?」と疑問に思われる方がいらっしゃいますが、これは鼻の粘膜から産生される粘液を抑えることで、後鼻漏を防ぎ、咳や痰がらみを抑えるという目的の治療法です。
上記の症状があれば、ドクターの診察を受けることをお勧めいたします。