『皮膚のトラブルについて』
パースに来てから皮膚のトラブルを起こす日本人の患者さんはとても多く、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎などを中心とする皮膚のトラブルは『乾燥』がその原因、または悪化させている要因となっていることがほとんどです。オーストラリアの乾燥した気候のほか、石鹸、シャンプーの使用により皮膚の油分が奪われることにより皮膚の乾燥はさらに進行し、かゆみや皮膚の落屑(皮がぽろぽろ向けてくる状態)を引き起こし、悪化すると炎症が起こり赤く湿疹が出現します。
湿疹が出現し、かゆみが止まらない状態であればすぐにドクターの診察を受けましょう。治療としてステロイド剤の外用薬を短期間処方されることが多いのですが、日本人の患者さんからはステロイド剤を塗ることで皮膚の色が変わってしまう、もしくは皮膚が薄くなるなどの副作用を心配し、使いたくないというコメントをよく耳にします。しかしステロイド剤は皮膚組織の炎症を抑え、炎症のため厚くなった皮膚を改善し、色素沈着を防ぐ効果があります。局部の、しかも短期のステロイド治療は安全ですのであまり心配せずに、まずは素早くしっかり治療し、一旦炎症が落ち着いたら、ステロイド剤の使用はせずに、毎日の生活の中で皮膚を乾燥させないようにすることで再発を防ぐことが大切です。
皮膚の乾燥防止のためにまず身体を洗う際の石鹸の使用を中止しましょう。石鹸の代わりにソープフリーの低刺激性保湿洗浄剤で皮膚を使用することをお勧めします。CetaphilやQVというブランドの製品は皮膚の洗浄時に同時に保湿効果をもたらし、オーストラリアでは広く信頼され使われています。一般的にスーパー等で販売されている洗浄料のほとんどは香料などの刺激物を含み、例え保湿を売りにしている商品でも皮膚の状態を悪化されることになりかねません。
また熱いシャワーや長めの入浴も皮膚の乾燥につながり、その結果痒みがひどくなることが多いので、シャワーや入浴は短く、ぬるめのお湯にするなどの注意が必要です。また日本人の人が好むナイロンのタオルで身体をごしごし洗うことも避けましょう。
さらに毎日2~3回、Sorbolene Cream / QV intensive moistuliser / Cetaphil moistuliser / MooGoo Udder Creamなどの保湿剤を全身に塗りこみ保湿することで皮膚の乾燥をかなり防ぐことができます。
日本語医療センター マネージャー 千綿 真美