『生理不順』
オーストラリアに来てから「生理が止まってしまった」「周期がおかしい」「月に2回ある」「始まってから出血がずっと止まらない」など様々な生理不順の問題で当クリニックを受診される患者さんはとても多いです。
その原因の約80~90%は、環境の変化による肉体的あるいは精神的ストレスによるホルモンバランスの変化によるもので、他には急激な体重の変化、甲状腺などの内分泌系の機能異常や子宮や卵巣の異常などの病的な原因があげられます。
生理に異常がある場合は、やはりまず一度病院を受診してドクターに相談しましょう。そして、妊娠していないことを確認することが大切です。たいてい血液検査、そして必要があれば骨盤内(子宮や卵巣を含む)超音波(エコー)検査を行うことで、病的な原因がないかどうか調べることができます。これらの検査によって特に何も異常がなければ、原因はほぼストレスだと考えられます。
検査を受けて病的な原因が診断されず、ストレスが原因だと思われる生理の一時停止状態の場合、特に治療の必要はありません。ストレス軽減に努め、待って様子を見ることが勧められます。一般的に生理の一時停止状態が約6ヶ月ほど続いても身体の健康や将来の妊娠能力に影響することはないと言われています。ただし、それ以上を過ぎて生理がこないまま体内の女性ホルモンが少ない状態が続くと、女性ホルモンは骨の強化に影響しているため、将来的な骨粗しょう症などの発生予防のためにホルモン剤、いわゆるピルを服用することが勧められます。
最後に、くれぐれも忘れないで頂きたいのは「生理がない=妊娠しないということではない」ということです。ストレスによる生理の一時停止は微妙なホルモンバランスの不安定によって排卵が起きていない状態ですが、これは逆に、いつ排卵が起きるかわからないということであり、すなわちいつ妊娠してもおかしくないという予測のつかない状態なのです。月に生理が2回あるというような場合も同様です。排卵がいつ起こるか不測の状態の場合にもし性交渉をもつパートナーがあり、妊娠を望まないのであればきちんとした避妊対策を取るようにしましょう。
「生理不順」についてご不明な点があれば、お気軽に日本語医療センターまでお問い合わせください。