「花粉症」について
オーストラリアにも花粉症があるのですか?とよく聞かれますが、はいもちろん、そのとおりです。ここ。オーストラリアは世界でも有数の花粉症を含めた喘息やアトピー性皮膚炎などアレルギー疾患発症の多い国で、特にここウエスタンオーストラリア州は国内でも花粉症の発症が多い州となっています。
8月後半から9月に入り、雨が落ち着き、気温が上昇してくるとオーストラリアでも花粉症の時期が始まります。
人間の身体には体内に侵入しようとする異物を排除するための免疫機能がありますが、この免疫が身体に害を及ぼす異物に対してではなく、本来は無害な物質に対して過敏に反応してしまうものをアレルギー反応といいます。
今まで花粉症になったことがなかった人も、ある年から急に症状が出ることがあります。これは日本にいても、オーストラリアにいても関係ありません。日本では何もなかったのにこちらにきて花粉症になった、あるいはオーストラリアにもう3、4年いて今まで大丈夫だったのに今年初めて症状が出た、などよくあることで、ある年急に免疫システムが体内に侵入した花粉に反応を示し、目・鼻・のどのかゆみ、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、頭痛やだるさなどを引き起すのです。
日本では花粉症の原因と言うと“スギ花粉”が代表ですが、オーストラリアで多い原因は様々な種類の芝、SILVER BIRCH, MAPLE, OLIVEなどの木、様々な雑草などからの花粉となっています。花粉の時期はその植物にもよりますが、9月から4、5月まで数ヶ月に及びます。
近年のアレルギー疾患の増加には、昔に比べると清潔になりすぎた環境が影響しているのではないか、と言われています。予防接種によって子供の頃にウイルスや細菌などの感染症に対してあまり接触することがなくなり、免疫機能がそれらの異物に抵抗しようとしなくなってしまう。そして逆に、接触してくる無害なものに対して抵抗しようと過敏に反応してしまい、アレルギーを引き起こしてしまうとのこと。
アレルギー検査は、日本では病院で即日に簡単にできる皮膚のパッチテストが一般的ですが、オーストラリアでは特に重症なアレルギー症状でなければ検査は行われません。もし必要であればGP(一般医)では血液検査が一般的に行われます。IgE抗体という特殊なタンパク質の数値が上昇していると、「身体の中で何かに対するアレルギー反応が起こっている」という診断ができます。そして花粉や芝、ハウスダスト、犬や猫、ピーナッツ類、大豆というような基本的なものに対するアレルギー反応を検査することはできます。しかしそれ以上の詳しい検査が必要とされる場合はアレルギーの専門医へ紹介を受けることになります。
花粉症の治療には抗ヒスタミン剤やステロイド剤の目薬、鼻のスプレーや内服薬がそれぞれの症状に応じて使われます。抗ヒスタミン剤はドクターの処方箋なしでも薬局で直接購入することができますが、ステロイド剤は処方箋が必要です。花粉症なのかどうかわからない、どの薬を使えばいいのかわからないというような方はまずかかりつけのドクターや日本語医療センターにて診察を受け、適切なアドバイスをもらいましょう。